「矢島の人たち」企画原案

財政がいま抱える問題点
由利本荘市 起債知事許可団体へ
市政雑感
 
      平成19年10月12日

                佐藤 勇   NPO法人矢島フォーラム会員 
                             由利本荘市市議会議員
 わが愛する由利本荘市の平成19年度実質公債費比率(自治体の収入に対する借金返済額の割合)が先日発表され、18.3%であることが判明しました。これは18%以下であることが望ましいのですが、今回そのラインを上回ったために、18年度決算で地方債の発行には都道府県の許可が必要となる起債許可団体になりました。

  数値は低いほど財政は健全 由利本荘市は(2)にランク
  された  (4)には平成17年度で夕張市など8市町村が
  分類されている
 
 25%以上になると、一般単独事業の一部が制限されることになります。 なお、今回の公表は平成16年度〜18年度の平均値であり、新市になってからの全責任ということにはならないかもしれませんが、今後地方債を発行して借金する場合は、財政運営の計画を立てて国や都道府県の許可を受けなければなりません。平成18年4月に地方債制度が、これまでの許可制度から協議制度に移行したことに伴い導入された財政指標であります。これは、平成20年度から適用される予定の自治体財政健全化法においても財政悪化度を測る指標の一つとされることになっています。
 由利本荘市の財政力  円内の緑ラインが由利本荘市
と同規模の自治体の平均値  由利本荘市を表す赤ライ
ンは緑ラインより外側にあるほどよい  グラフから市民
の借金の負担が増えること、合併による人事削減は進展
していないことなどが読みとれる   
 平成17年度由利本荘市財政比較分析表から
 



 実質公債比率の悪化は、とりも直さず行政や議会の勉強不足と怠慢や議会のチェック機能の甘さであり、甘さというよりはチェック機能そのものが働いていないせいでもあると思います。財政の把握に務め、ダメなものはダメと全体を考えながら政策について論議をしなければならないと思います。

 私は財政についてはつねに厳しく追及や主張もしてきました。現在進行中のケーブルテレビ事業などあまりにも事業費が大きく費用対効果が疑問視されるものです。

 たしかに難視聴地帯はケーブルテレビによって良質な画像が見られますが、はたしてこれほどの大がかりなかたちでなければ良好なテレビの受像や情報の共有化、または新市の一体感を醸成できないか疑問であります。

 専門のメンテナンスも育成していないし専用のホームページすら機能していない。スタッフも少人数の上、視聴料の改修にも手が回らないありさまです。生産の上がらないこの事業に今後いったいどれほどのランニングコストや維持管理費がかかるのか。主体性のない経営では事業委託業者のいいなりになるほかありません。
 
 いまIT分野は日進月歩、とくにこの種の情報化機器はものすごいスピードで進化を遂げています。現にSTB(セットトップボックス)はテレビ一個に一台ではなく、その器具一つで何台でも機能を有するものが各地のケーブルテレビ局で使用されている。価格・機能などは当たり前のごとく開発が進んでいる、このようなことに目を配りながら、事業主体の方も、いかに安く高性能のものを取り入れていくかという視点をもって研究勉強しなければ、業者のいいなりな高い買い物・不要の長ものを背負わされることになる可能性が十分あるのです。

 私は市議会の事業採択時においも、事業途中にも見直しやこれでいいのかの意見を主張してきましたが、理解を得られなかったものであります。


 現在進めているコンパクトシテイ構想も合併条件にはなかったことです。合併効果により旧本荘市の土地区画整理も大々的に行われております。この件に関してもほとんどの人が異論を唱えませんでした。

 わずか9万市民の数%のアンケート調査結果で事業採択をして、約62億5千8百万円のまちづくり交付金事業が、いつの間にか建物だけで約39億円から60億円を越え、全体事業費で100億円を越える実施設計になっています。

 まちづくり交付金は、地域の歴史・文化・自然環境等の特性を活かした地域主導の個性あふれるまちづくりを実施し、全国の都市の再生を効率的に推進することにより、地域住民の生活の質の向上と地域経済・社会の活性化を図るための制度です。予算のほぼ半額が助成されます。
 現文化会館の代替施設については、由利本荘市芸術文化協会の統一見解で、観覧席500人規模と明記して陳情書を議会当局に提出したものでもあります。それが1100人規模までに拡大されています。一般市民からは、なぜいま大借金してまで、これまで支障なく使用している文化会館を取り壊して駅前の病院跡地に建て替えなければならないか疑問に思われることでしょう。

 議会も特別委員会を立ち上げましたが、行政はその後もさほどの抵抗を感ずることなく事業計画を進捗させております。自分も議員でありながら立つ瀬がないのでありますが、これが実態であるといわざるを得ません。

 民主主義は多数決と申しますが、与党会派(最も人数の多い集団)は、行政がやるおおかたのことに関して、反対もせずそのまま容認してやることがその任務みたいに勘違い、錯覚しているのではと思います。

 行財政運営はつねに市民が主人公であるべきで、5年、10年そして何十年も先を念頭において推し進めなければなりません。 現在でも維持費が5千万円、新複合文化施設の維持管理費は2〜3億円の維持管理費(それ以上かも)が予想されます。

 参考までに、当市の人口19年3月現在、89059人で高齢化率は27.7%です。厚生労働省が5月29日に発表した2035年の秋田県の推計人口は現在の3分の2の78万人、このうちの41%がお年寄りということになっています。加えて秋田県の人口減少率は全国一とも予想されています。

 由利本荘市ではどうなるか。現在の8万9千人は6万2千3百人に減少することになります。その40%が65才以上、生産年齢人口50.3%で全国最下位と公表されております。子どもたちのことをいえば、平成19年4月1日現在、7065人の小中学生徒数は、平成25年には1000人の減少を見、6000人台が予測されています。


 その市民も、旧本荘市民だけではありません。この10月から定期バスのなくなる鳥海町も笹子の皿川、直根の百宅、そして猿倉住民もれっきとした由利本荘市民なのであります。

 はたしていま、行政は合併のときに期待されたことに応え、あるいは危惧されたことを払拭しているのでしょうか。由利本荘市は合併時に期待されたもののように展開しているでしょうか。みなさんのご意見を賜ります。


参考:
 実質公債比率問題を報じる朝日新聞(H19 年9月8日)
 9市町村で「18%以上」 実質公債費比率
 県市町村課は7日、県内25市町村のそれぞれの収入に占める借金返済額の比率「実質公債費比率」(04〜06年度平均)の速報値を公表した。借金である地方債の起債に知事の許可が必要になる「比率18%以上」の自治体は、前回(03〜05年度平均)より1市2町増え9市町になった。算入範囲が拡大されたこともあり、22市町村で前回より比率が上昇した。
 県内で比率が最も高かったのは、八郎潟町の24・9%。同町によると、96〜01年度に行われた中学校の校舎建設(総事業費約25億7500万円)や93〜01年の町道の大規模整備(同約23億8600万円)などの事業の償還が比率を押し上げた。ただし05年度が償還のピークで、単年度ベースでは、すでに比率は減少に転じているという。
 新たに「比率18%」を超えたのは由利本荘市と美郷町、八峰町。
 18・3%(前年度比2・4ポイント増)の由利本荘市は、今年度新たに算定基準が拡大され、公有林整備事業の償還費(約2億円)などが算入されたことなどが比率を押し上げたという。同市は「交付税の減少で収入も減っている。新規の借り入れを抑制するなどして、10年程度で18%以下にしたい」としている。
 19・5%(同3・4ポイント増)の美郷町も、土地改良事業の償還費(約1億600万円)などが新たに算定されたことが主な要因という。
 比率の算定は、市町村合併後の現在の枠組みで計算されている。



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