地域自治区矢島地域協議会 2
平成18年度会議録を読んで 平成19年5月23日
| 太田良行 NPO法人矢島フォーラム理事長 |
平成18年度矢島地域協議会は4回開かれています。 協議会は三つの分科会に別れ、新市合併後の矢島町の状況について意見を出し合い(第2回)、それらのなかから各分科会でふたつのテーマに絞込み(第3回)、その2点について協議をし「意見書」にまとめる(第4回)というものでした。 合併後の矢島町の状況をどう見ているか 合併後の地域の状況については、「保育料が安くなった」「スキー場の整備が進んだ」という肯定的な意見も見られますが、多くは、行政が身近なものに感じられなくなり対応も遅く不十分になったという意見です。とりわけ、総合支所の果たしている役割と機能について満足していない人が少なくありません。 三つの分科会が取り上げたテーマは 第一分科会 @学校跡地利用について A生活に密着した問題について(総合支所の対応力) 第二分科会 @矢島の歴史・文化を次世代に引き継ぐ努力(方策) A中高連携校建設に伴う高校跡地利用について 第三分科会 @学校跡地利用について A生活に密着した問題(生活環境)について 以上からわかるように、三つの分科会が共通してテーマに取り上げたのは中高連携校建設に伴う学校跡地、とりわけ矢島高校跡地の利用に関する問題です。 中学校、高等学校の跡地を現状を生かして、中学校はスポーツゾーン、高校は歴史文化ゾーンとして整備拡充を図ることというのが協議会の提案となりました。 ふたつの分科会で共通テーマになったのは、生活環境問題です。その基調は新市合併後行政の細かい対応が弱くなってしまったというもので、総合支所のよりダイナミックな活動を求めています。 昨年度総合支所には支所長決済で支出することのできるプール金1000万円がありました。行政側はこれを除雪など不測緊急の事態に対応するためのものと位置づけていたこともあり、必ずしも住民のダイレクトな要望に応えて使われることがなかったことに問題が提起されています。 新市合併後の町の状況を以前よりも悪くなったと見る人が多いのですが、その象徴的な事例がTDKの撤退問題です。 TDK撤退問題はまだ具体化しているわけではありません(会社側はノーコメントの状態)が、この3月TDKは本荘工業団地に進出することを表明しています。 企業活動はより利益の上がる方策をとるのが当然とはいえ、県の整備した工業団地にTDKが進出することが矢島からTDKの撤退の誘因となっているとすれば、ひとりTDKの合理化問題にとどまらず県や市の行政のあり方にも問題は投げかけられていることになります。 中高連携校問題のもうひとつの側面 中高連携校問題は、その跡地利用に関して全分科会がテーマに取り上げているように矢島町にとってたいへん高い関心を呼んでいます。 ただ残念に思うことは、関心が跡地利用に集中するいっぽうで、新しく建設される中高連携校そのものにはまったく向けられていない点です。 現在計画が進められている「矢島中高連携校」は、昨今全国で喧伝されている中高連携校とはちがって、たいへん「ユニークなもの」です。 文部科学省が推進している中高一貫教育校構想というものがあります。これによると、全国におよそ500の中高一貫校が設置されることになります。秋田県では県北、中央、県南に各1校が建設される計画で、すでに県北(大館)と県南(横手)に開校しています。秋田市にも市立の中高一貫校がありますが、これとは別に県立の一貫校が設置される予定です。 一貫校という名称のなかにも、三つのタイプがあります。 @文字通りひとつの学校で6年間一貫して教育を行うもの A一部を一貫して教育を行い一部を従来どおりのかたちで教育する並列校 B高校が中学校に入試などで優遇措置を講ずる連携校 一般にいうところの中高連携とはBのタイプをいうのですが、矢島町の中高連携校はこの例に当てはまりません。「中高連携」とはいいながら、矢中の生徒が矢高進学にさいして特別の扱いを受けるということはありません。 もともと矢島町で中高連携ということばが使われたのは、中高学校と地域が「連携」するという意味だったはずです。 現在建設が進んでいる新校舎は中学校と高校が隣接し、体育館など一部校舎を共同して利用するというものです。この利点は、だれでもわかるとおり、建設費の削減でしょう。 連携の内実はそこにあるのではなく、中高教員の相互派遣(資格や給与体系問題)、部活など中高生との合同活動のあり方にあります。 また、中高連携校をひとつの教育ゾーンととらえて、地域住民へ学校を開放して中高連携校が地域住民の生涯学習の場にもなる。そのあり方について大いに議論が起こるべきなのではないでしょうか。 たとえば、地域住民がクラスを作って勉強会をやりたい、そうした場合の学校利用はどうなるのか、クラスに中高の先生に授業してもらえないか、学校図書館の市民の利用方法はどうなるのか、こうした点での連携のあり方がもっと問われてよいはずです。 備考: 平成18年度矢島地域協議会会議録及び意見書 ご意見、ご感想をおまちしています。 |